ミュンヘンの学生たちが、圧縮空気の力を借りてトンネル建設に革命をもたらすべく奮闘
ガルヒングのリサーチキャンパスでの冷たい冬の朝。実験場を覆う薄氷の層に太陽が反射して輝いています。この寒さにもかかわらず、ここは活気に溢れています。数人の学生たちが寒さに抗おうと身を寄せ合いながら、トンネル建設に革命をもたらすトンネル掘削機のプロトタイプづくりに取り組んでいます。彼らはミュンヘン工科大学(Technical University of Munich)のチーム、TUM Boring – Innovation in Tunneling e.V.のメンバーです。チームの目標:未来の地下インフラ形成の支援。ですが、彼らのアイデアの実現には、この実験場の凍てつくような気温をはじめとするいくつかの過酷な試験が立ちはだかっていました。
「私たちはトンネル掘削機の開発を行い、自分たちの機械で世界最速のトンネル掘削機の構築を目指す世界大会に出場します」そう説明するのは、プロジェクトマネージャーのFelix Blanke氏です。課題:件のコンペティションは、Elon Musk氏が主催する「Not-a-Boring Competition」(つまらないこともないコンペティション)という名前以上の盛り上がりを見せる世界大会で、トンネル建設の優れた発想力を競い合います。
2020年にコンペティションが始まって以来、ミュンヘンのチームは2度の勝利を獲得しています。今年度の開催地は、米国テキサス州です。チームはスピードと技術的ノウハウの両方で新たな基準を打ち立てる次世代型掘削機をかかげ、これまでの実績を証明すべく、3度目の優勝を狙いたいと考えています。
ミュンヘン工科大学の TUM Boring – Innovation in Tunneling e.V.チームは、世界最速のトンネル掘削機の開発を目指しています。
エンジニアリングと創意工夫が融合
この新しい機械の核となるのが、「パワーパイプ」という先端の掘削部分で、ここに掘削ヘッドの稼働に必要な仕組みがすべて入っています。この部分で後ろから前に押されながら、回転式掘削ホイールが土壌を削り、同時に油圧式プレスフレームが覆工を行っていきます。「土壌は吸引掘削機で中央から取る出されます」とテクニカルディレクターのAnton Vierthaler氏は説明します。簡単に聞こえるかもしれませんが、この画期的なアイデアは数ヵ月の地道な開発の結果です。
学生たちは掘削ヘッドのトルクを大幅に引き上げ、地下駆動システムの配置を見直し、圧縮力と張力の両方を伝達する新しいパイプ接合システムを開発して、掘削機のオペレーターがさまざまな地盤条件に柔軟に対応できるようにしました。つまり、掘削機がかつてないほど高速化し、スリムにかつ効率的になったということです。
コンペティション会場ではさまざまなアクティビティが行われます。テキサスのコンペティションでは、ケーザー米国支社がMOBILAIR 59を提供しました。
地上の下にある課題
イノベーションは独自の課題をもたらし、粘土質のテキサス土壌が特に厄介な問題になることが判明しました。この問題を克服するために、チームは特別に配合したフォームを使用する高度な土壌改良システムを開発し、粘度を緩和させました。そこで、もう1つの重要なプレーヤーが登場します。ケーザーのMOBILAIR M 65です。
- ケーザーのMOBILAIR M 65可搬式コンプレッサーが土壌改良システムを最適化し、信頼性の高い圧縮空気技術によって決定的な競争優位性が確保されました。
この可搬式コンプレッサーは、掘削ヘッドの洗浄だけでなく、土壌改良剤の泡立てにも使用されます。困難な地盤条件で確実に前進するために欠かせないプロセスです。「私たちのプロジェクトに適した圧縮空気のパートナーを選ぶに当たり、ケーザーは第一で唯一の選択肢でした」Felix Blanke氏はそう語ります。「トンネル掘削業界の別の企業から薦められたというのもありますが、コンペティションでトップになるチャンスを確実にするために絶対的に信頼を置けるパートナーを必要としていました。そして、ケーザーの品質は抜きん出ていました」このことが、TUM Boringチームに明確なアドバンテージをもたらしました。
圧縮空気の戦略的な使用が、真のゲームチェンジャーとなることが証明されたのです。
ケーザーのMOBILAIR M 65可搬式コンプレッサーは、必要な圧縮空気を効率的かつ安定的、高速に提供します。
テキサスでの晴れ舞台
懸命な取り組みがすべて報われました。2025年度のNot-a-Boring Competitionの最終決戦はテキサス州バストロプで開催されました。TUM Boringチームの掘削機は、22.5メートルというボア長を達成し、新記録を打ち立てました。
チームが勝利という結果だけでなく、最先端のトンネル建設の歴史で確固たる地位を確立した瞬間でした。3回のコンペティションで、3回の明確な勝利を獲得し、いずれも2位以下を大きく引き離しています。
チームの絶え間ない取り組みや技術的な野心、ケーザーを始めとする力強いパートナーシップの効果を裏付けています。「この成功により、私たちはチームとして、またコンセプト的にも正しい道を進んでいることを確認できました」と、Felix Blanke氏は誇らしげに語ります。「情熱を持った人々が共通のビジョンに向かって団結することで、こうした成果を達成できるのです」
地上の下にある未来
勝利を手に入れた今、チームは既に先を見据えています。未来の地下インフラを効率的、高速かつサステナブルに形成するという彼らのビジョンに変わりはありません。先のことは誰にも分かりませんが、革新的なミュンヘンの技術がインフラプロジェクトで世界を席巻する日も、そう遠くないかもしれません。
満足そうな表情を浮かべる勝利者たち:3度目のコンペティション勝利を手に意気揚々としたチームは、自信に満ちあふれた表情でドイツに帰国します。